あるくマーメイド
この部屋は沈没しました
僕ら二人 意識不明の重体に
なってしまうほど 空気足らない
息もできないや
「私本当は人魚なの」って
無表情で 君は言った
僕は返事もしないで
ゲームを続けている
おやすみも言わずに
君は先に眠って
僕も硬いソファーで
眠りについた
絵本と子守歌
おぼろげなラストシーン
少しずつデカくなって
大事なものを失くして
そんなに悲しいストーリーだっけ?
泡になった生活は 弾けて消えた
君が残していった漫画も全部
捨ててしまおう
どうやって こんな海を
泳いでいくの?
ちゃんと君の話を聞けば
良かったなんて
後の祭りもちゃんちゃらいいところ
「生きずらい世界だね」とぼやいて
君はなんで 陸を歩いていたの?
すれ違った あの時
何故振り返ってくれたの?
夢の中で僕ら
波に攫われていく
別々に流れてって
諦めるほうが楽で
なんだか更に肩が重くなって
空になった感情は 燃やしてしまおう
本当に欲しい詰め替えパックは
どこにも売ってない
どうやってこんな夜を
超えていくの?
海の底ではスマホも全部
繋がらないよな
今日も通話ボタンを押せずにいる
言葉にしなきゃ伝わらないんだよって
先生は教えてくれたのに
何を言えばいいのか
大きくなってもわかんないや
泡になった生活は 弾けて消えた
君が
残していった漫画も全部
捨ててしまおう
どうやって こんな海を
泳いでいくの?
ちゃんと君の話を聞けばなんて
もう一度 会えるなら
君が笑えるような話も
ちゃんと考えておくよ
大丈夫 きっと僕ら 歩いて行ける
そんな風に言えたら良かった
海岸通り
海の真ん中 君が顔を出した